いつもアイドルや俳優の隣で、彼らをどう見せるか一緒に悩み、スターを作っていくスタイリスト。
華やかでラグジュアリーに見える世界ですが、実はそこはめちゃくちゃ過酷な現場だった…?!
韓国の新聞の記事をもとに、K-POPアイドルのスタイリストの過酷な現場を見てみたいと思います。
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目次
韓国、K-POPアイドルのスタイリストの実態
◆そもそも韓国、K-POPアイドルのスタイリストとは?
スタイリストはその言葉通り、アイドルやスターの衣装やアクセサリーなど、‘ファッション’の演出を担当する職業です。
(他にもファッションブランド、雑誌、映画やドラマなどでもスタイリストが活躍していますが、今回はアイドルや俳優などスターたちのスタイリストにフォーカスを合わせます)
人に常に見られているし、人に見せることが職業である彼らにとって、スタイリストというのはとっても大きな存在。
ですからあまり注目されていなかった新人が、有名スタイリストと仕事したことで注目を浴びるようになったということもしばしば起きるのが韓国芸能界なんです。
トップスターたちもスタイルが大事であることはみんな分かっているので、気に入ったスタイリストがいれば何年もその人と仕事をしたりします。
例えば、BIGBANGはデビューした時、洗練されたファッションが、韓国の若者に大きな影響を与えました。
それまで韓国でまったく知られていなかった原宿や渋谷発のブランドをいくつも着て、韓国でストリートファッションブームを巻き起こしたんです。
BIGBANGと一緒にこれらを作ったのがスタイリストのジウンさんで、ジウンさんは現在、YGエンターテインメントの役員にもなっています。
それからラブリーなスタイルで韓国だけではなく日本や中国などアジアの女性たちを魅了した少女時代にも凄腕スタイリストのスギョンさんの存在がいました。
ファンの間では少女時代の11番目のメンバーと呼ばれていたほど、メンバーからもファンからも信頼されていました。
◆スタイリストになるためには
前述のBIGBANGの存在によって、スタイリストという職業が韓国で注目されることになり、韓国の専門学校には’ファッションスタイリスト’を学べる学科が出来たり、関連資格を取る塾が出来たりしました。
そういった学校ではファッショントレンド分析、スタイリング、イメージメイキング、ファッションビジネスなどの基礎地域を学んで卒業することになりますが、スターたちのスタイリストになるためには、スタイリストが運営している事務所に弟子入りするしかありません。
そのスタイリストの事務所に入り、どんな現場を経験して、誰に会うかで、将来の方向性が決まるんです。
◆スタイリストの過酷な現場
アイドルや俳優の間近で、彼らのスタイルを作っていくというのは、本当にやりがいのある仕事に間違いありません。
でもスタイリストが運営している事務所に‘弟子入り’して独立するまでは本当に過酷な現場が待ち受けています。
あるK-POPアイドルのスタイリストを取材した韓国の新聞記事を一部紹介しましょう。
この12月4日午後2時、ソウル江南区狎鴎亭のロデオ通りで会ったチャン・ジュヒョン(仮名・22)さんは自分の体よりさらに大きな黒いカバンを持っていた。
長さだけで80センチはありそうなかばんの中にはビニールに包まれたコート、ブラウス、スカートなど衣類や靴がいっぱい入っていた。 チャン氏が記者に一度持ってみますかと聞き、カバンを手渡した。 カバンを持っただけで、その重さで体が傾いてしまった
スタイリストをやっているのはほとんどが20代の女性。
大量の衣装を借りては返し、借りては返すのがスタイリストアシスタントの主な仕事で、女性たちにとっては体力的にもとっても大変なんです。
こんな体力的に大変な仕事に加え、精神的にストレスになることも多いです。
「固定された休みなんてありませんでした。家で休んでいてもアイドルから呼び出されたら行かなきゃならないんです。
ある日は、メンバーがあるブランドの服を着てプライベートの席に行きたいって早く衣装を借りてほしいと言われたこともあります。
だから急いで借りに行ったこともあって、その時に本当に空しかったです。」
プライベートの席なら自分の服着てよ!!って感じですよね。
でも人気アイドルだからこそ、スタイリストアシスタントの子は、逆らえないでしょうね。
それに、彼らがもらっている給料を聞くと、本当にびっくりする現実がありました。
「給料は月50万ウォン(約5万円)です。
俳優が一週間ずっとドラマ撮影に入って一日も休めなかったことも多いです。一日に20時間働くこともあります。そんな時、‘バイトをしてもこれよりは稼げるな’と感じるんです。」
ーー
2年間、大手事務所所属のアイドルグループのスタイリストアシスタントとして働いたパク氏の初めての給料は0ウォンだった。経験によって給料も上がり、120万ウォン(12万円)までもらっていたけど、最初の半年間の給料は30万ウォン(3万円)に過ぎなかった。
ーー
「歌手、とくにアイドルはひどいです。何か月もまったく給料を払ってくれないチームだっていますよ。アイドルファンだから(顔を見に)入ったのか、本当にスタイリストになりたいのか検証するためなんですって」
韓国の全国女性労働組合ソウル支部が実施したスタイリストとスタイリストアシスタントたちの労働実態調査によると、81.6%の人が月給100万ウォン(約10万円)で働いているそうです。
拘束時間が長いからアルバイトだってもちろんできないし、ほとんどの人が親からお小遣いまでもらって仕事をしているんですって。
◆何故そんな過酷な現場を耐えているのか
それでは、なぜ彼らはその安い給料と過酷な労働を耐えてまでスタイリストを夢見るのでしょうか。
先程の韓国の新聞記事の続きを紹介します。
ハンリム大学教授のシン・ギョンア氏はスタイリスト業界は‘若者にとっての夢の産業’だと話す。
スタイリングを担当する芸能人の数が増えて、自分の事務所を立ち上げたいという華麗な‘夢’のために、長時間低賃金労働を耐えているということである。
確かに、自分の事務所を立ち上げて、芸能人のスタイリングを担当し、スターのイメージづくりに影響を与えられるようになると、すっごく楽しいでしょうね。
それに、スタイリストたちにはさらに大きな夢もあるそうです。
スタイリストアシスタントとして働いているチャン氏の夢も事務所を持つことである。
「事務所を作るためには経験しなきゃいけないことだから、今は大変だけど、大きな不満はない」
そして独立後には、自分のブランドを立ち上げるというもっと大きな夢が待っている。
「事務所を持って、芸能人と仲良くなると、ブランドを立ち上げた時に役に立つと思ってこの仕事をしている」
なるほど・・今、目先はすっごく大変かもしれないけど、いつか独立して、自分のブランドを立ち上げることまで考えているんですね。
過酷な現場であることは確かですが、こういった夢を持っている人たちにとっては、通らなければならない必要なプロセスでしょう。
こういったひどい労働環境は、みんなで改善して行く必要がありますが、我慢した先に夢があるという構造がある限り、このような劣悪な環境はまだまだ続きそうです。